ポイント
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体形及び解剖学的構造が国際的な標準値に合致した世界初の小児数値人体モデルを開発
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小児を対象とした電波吸収量や車両衝突時の人体損傷の解析などの数値シミュレーションに利用可能
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非営利目的の利用に対しては2023年2月1日(水)から無償で公開を開始
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、世界に先駆けて、体形及び解剖学的構造が国際的な標準値に合致した国際標準小児数値人体モデル(1歳児、5歳児、10歳児)を開発し、2023年2月1日(水)から、非営利目的の利用に対して無償公開を開始します。このモデルは、小児を対象とした電波吸収量や車両衝突時の人体損傷の解析などの様々な数値シミュレーションに利用することが可能であり、小児の安全性評価や診断・治療技術の向上など、様々な分野への貢献が期待されます。
背景
近年、医療診断技術の進歩や計算機性能の向上により、人体を忠実に模擬した高精細数値人体モデルを用いた電磁界シミュレーションにおいて、人体の電波吸収量を精密に推定することが可能になってきました。NICTは、日本人の平均的な体形及び解剖学的構造を有した成人男女や妊娠女性の数値人体モデルを開発し、これらのモデルを公開することで、これまでに、国内外約300件の研究などにご利用いただいています。
一方、これまでの小児の数値人体モデルでは、その多くが成人の数値人体モデルの簡易縮小版や特定の個人の解剖学的データを用いていたために、体形や臓器が小児の標準値から逸脱している等の問題がありました。そこで、NICTでは、個人差に影響されない一般性の高い数値シミュレーションを可能にするために、国際的な標準体形及び解剖学的構造を有する国際標準小児数値人体モデルの開発に取り組んできました。
国際標準小児数値人体モデルの概要
今回公開する国際標準小児数値人体モデルは、人体の解剖学的な構造を多数の細かなブロック(1辺が2 mmの立方体)で表現した小児(1歳児、5歳児、10歳児)のモデルです(図1参照)。本モデルを構成する各ブロックには約50の異なる組織臓器に対応するID番号が付与されており、体形と組織重量は、国際放射線防護委員会(ICRP)が推奨する小児の体形と臓器重量の参照値に合致するように調整しています。
この人体モデルを構成する各ブロックに対応した組織や臓器の電気定数を設定することで、電波が小児に吸収される様子を計算することができます。NICTは、これらの国際標準小児数値人体モデルを用いて、携帯電話基地局等からの電波吸収量についての詳細な数値シミュレーションを行い、その成果をまとめた論文は2020年に発行された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の国際ガイドラインの根拠として引用されています。
また、電気定数の代わりに他の物性値を設定することで、様々な分野での数値シミュレーション研究・技術開発にこれらのモデルを利用することが可能となります。これまでに公開してきた成人の数値人体モデルは、車両衝突時の人体損傷の解析や放射線治療における被ばく線量最適化等の分野でも活用されており、国際標準小児数値人体モデルについても様々な分野で活用できます。
モデルの公開
国際標準小児数値人体モデルの公開は、2023年2月1日(水)から開始します。利用条件や申請方法等については、下記のWebページをご覧ください。
また、今回の無償公開は非営利目的の利用を対象としていますが、今後、営利目的の利用に対する有償公開についても検討しています。ご興味がある方は、以下の本件に関する問合せ先までご連絡ください。
なお、国際標準小児数値人体モデルの研究開発の一部は、総務省委託研究「Beyond 5G/6G等の多様化する新たな無線システムに対応した電波ばく露評価技術に関する研究」(JPMI10001)により行われました。
関連する過去のNICTの報道発表等
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2001年4月26日 我が国初の全身数値モデルを共同開発
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2004年11月10日 日本人平均成人男女の数値人体モデルデータベース公開のお知らせ
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2006年3月28日 数値人体モデルデータベースの有償公開を開始します。
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2006年8月24日 世界初の妊娠女性数値モデルを共同開発
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2008年7月4日 日本人妊娠女性の全身数値モデルデータの無償公開
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2009年12月21日 妊娠女性全身数値データの民間への公開を開始
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2012年1月25日 ポーズを自由に変えられる“数値人体モデル用ソフトウェア”の公開
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2016年3月8日 人体解剖モデルを電波に対するばく露評価に利活用するためのソフトウェアを公開
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2020年4月20日 電波防護の新国際ガイドラインに、NICTが実施した多くの研究成果が反映されました